フッ化水素の輸出管理で日本企業が大ダメージ!?もしやこれはブーメラン!?なーんちゃって!!

2019年11月

2019/11/12

今日は「フッ酸輸出管理でステラが大ダメージ!?実はそうではないみたい。」についてお伝えしたいと思います。

ステラケミファ大幅減益

フッ素化合物大手のステラケミファが8日発表した2019年4~9月期の連結決算によると純利益が前年同期比58%減の6億3000万円となりました。売上高は12%減の171億4000万円、営業利益は54%減の9億9600万円となりました。7~9月期の第2四半期でみると落ち込み幅はさらに顕著で、売上高は前年同期比21%減の74億600万円、営業利益は88%減の1億4800万円と激減したと報じられました。

朝鮮日報によると例年ステラケミファはフッ化水素生産量の60%をサムスン電子、SKハイニックスに輸出していて、日本の対韓輸出管理を強化したことで業績が悪化する「ブーメラン効果を生んだ格好」と報じました。

またサムスン電子、SKハイニックスなどは現在、日本企業が台湾など現地企業と合弁で設立した業者を通じ、代替フッ化水素を輸入しているとし、韓国のソウルブレインなどのフッ化水素メーカーも高純度フッ化水素の生産、供給を急いでいるとしました。

日本の報道も悲観的

日本の経済紙も取上げ、原材料安で採算は改善したものの、韓国への半導体メーカーの販売量が落ちた分は補えなかったと述べました。

高純度フッ化水素は7月から韓国に輸出する際には個別の審査や許可が必要となり、日本の財務省が発表している品目別の貿易統計によると韓国向けフッ化水素の7月分輸出量は前月から84%減少した479トン、8月はゼロ、9月は100キロとなりました。

日本政府は8月の報道が出た際に、「8月の韓国向けフッ化水素輸出がゼロになったとの一部報道」を否定し、「8月中も許可対象のフッ化水素が輸出されていることを確認している」と発表、貿易統計上「再輸出品」として計上されている場合があるとしています。

ステラケミファは純度が99.9999999999%を超える超高純度フッ化水素の製造技術を保有していて、高純度フッ化水素は半導体ウエハーに生じる酸化膜を除去する洗浄作業に必須とされます。さらに世界シェアの6~7割を持つとされる企業が、たった韓国向けの輸出が滞っただけで大打撃を受けるものでしょうか?

決算資料を見てみた

ステラケミファの事業は、フッ化水素などの「高純度薬品事業」、高純度薬品など危険物物流の「運輸事業」、がんなどの治療技術の開発を行なう「メディカル事業」を行なっています。メディカル事業は事業としてはまだ成立しておらず、2020年3月期の上半期で5億4000万程度の赤字、運輸事業も前年同期に比べ採算性が悪化、売上げは微増していますが、営業利益は41%マイナス(約1.7億の減少幅)となっています。

高純度フッ化水素酸は「高純度薬品事業」の中の「半導体液晶関連」にセグメントされ、売上の中で55%を占める主力製品となっています。この上半期で「高純度薬品事業」は売上高で前年同期比14%マイナス、営業利益で42.9%マイナスとなりました。その中でフッ化水素が含まれる「半導体液晶」は売上高で前年同期比16.4%減の81億3700万円で16億円のマイナス幅となり、影響が小さいとは確かに言えません。

ただ、四半期ごとの営業利益推移を見ると前年同期はここ2年半で最高の営業利益を記録した時期で、他の半導体メーカーと同様、メモリー特需だったように感じます。

やはり需要調整?

高純度フッ化水素酸(半導体液晶)の出荷量の推移をみると、この上半期で3万6583トンで、前年同期比で約20%落込んでいますが、韓国向けが60%だとすれば、60%落込んでしまうことになるはずです。

日本政府が言うように、韓国向け輸出が継続されているか韓国以外の輸出量が相対的に多いかの証左といえるでしょう。

メモリ市場は2019年に一旦減速するも2020年はプラス成長が予測されているとしていて、韓国の輸出管理の問題よりは、全世界的な需給調整により絶対的な出荷量が減ったと考えられます。

また、ステラケミファは、中国では不透明としながらも、米マイクロンテクノロジーとキオクシア(旧東芝メモリ)などが2019~2020年に相次いでDRAM、NNANDの増産を見込んでいるとし、日本国内、台湾、韓国での半導体投資案件は強含みとしています。2020年3月期の通期の業績予測において、他の事業のマイナスが目立つのは気になりますが、「半導体液晶」部門については売上げ回復を見込んでいて、さらに次世代のLSI微細化技術への対応薬液の開発も行なっています。

決算書を確認した結果、報道にあるように対韓国への輸出管理により壊滅的なダメージを受けている訳ではないようですが、悪材料が重なって注目されてしまったようですね。たった数ヶ月間で10~20億のフッ化水素の輸出が減った事で、数千億円規模の減益に陥る韓国半導体業界。日本の誇る核心素材メーカーですから、みんなで応援しましょうね。

コメント