インドが交渉離脱!?RCEPは年内妥結断念!!日本も中国に飲み込まれる!?

2019年11月

2019/11/06

今日は「RCEP年内妥結断念!!今後の日本の関わりが重要に!?」についてお伝えしたいと思います。

RCEP年内妥結断念

安倍首相と文在寅大統領の待ち伏せ面会が話題になるなか、日本や中国、インドなどが参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉は、4日にすべての首脳会合を終え、目標としていた年内の妥結を断念しました。

インドを除く15ヶ国の交渉はほぼ終わっていましたが、インドが最後まで関税撤廃などに対して慎重姿勢を崩さず、2013年から続く交渉の早期合意は見通せない状況です。

インド外務省は会議後に記者会見を開き、RCEPの交渉からの離脱も示唆し、インドを除く15ヶ国は2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることで合意しました。

日本の管官房長官は、あくまで「インドを含めた16か国」の協定署名に向けて、「引き続き主導的な役割を果たしていきたいという考えに変わりはない」と述べました。

今後の交渉のカギを握るインド国内では、経済環境の悪化などRCEPに対する産業界の反発が根強いだけではなく、モディ首相の国内における求心力の低下も影響されていると思われます。

RCEPとは

RCEPとはASEAN10カ国と、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インドの6カ国が参加し、広域経済圏をつくる構想で、成立すれば、世界の人口の半分の34億人、貿易額の約3割の10兆ドル、世界のGDPで3割にあたる20兆ドルを占める世界最大の自由貿易圏が実現することになります。

中国、韓国は環太平洋パートナーシップ(TPP)協定に加盟しておらず、特に中国にとってRCEPはTPPの代わりとなる大きな経済圏を構築する可能性を秘めるもので、特にASEAN諸国に対しての影響力を強める格好の枠組みです。

日本は中国の影響力に対抗するために、インド、オーストラリア、ニュージーランドを引き込んだ経緯があり、インドが離脱することになると中国の存在感は突出することとなります。米中貿易摩擦のさなかにある中国にとっては願ってもない展開で、現にインドを外した合意形成については、中国が主導したとされています。

インドの事情

インドは、中国などRECP主要国との貿易で、すでに膨大な貿易赤字を抱えていて、RCEPの発効により関税が撤廃されると中国を中心とした各国から安価な製品が国内に流れ込み、国内産業が圧迫され、貿易赤字の拡大に歯止めがかからなくなるという強い懸念があります。

2019年の4~8月の輸出入統計でさえ、中国(香港含む)との貿易赤字は252億ドル、韓国とは52億ドル、インドネシアは43億ドル、オーストラリア36億ドル、日本35億ドル、マレーシア19億ドル、シンガポール16億ドル、ベトナム15億ドル、タイ14億ドルの赤字となっています。

多くの人口を抱えるインド市場は巨大な内需を抱え、各国の輸出産業にとっては垂涎の的で、経済成長が鈍化している国内に製品が流れ込めば、自国産業が大打撃を受けかねません。交渉を進めるモディ首相に対する国内の反発も強くなっていて、貧困に苦しむ国内対策を優先せざるを得ない状況も透けて見えます。

インドは約13億人の人口を抱える人口大国ですが、1人あたりのGDPは、RECP交渉16ヶ国中、14位と低迷しています。インドが交渉を断念する要因は根深い問題が多く、交渉に復帰する道筋は見通せない状況となっています。

日本側は一貫した主張

TPPはRCEPが目指す関税撤廃を主とした協定のみならず、労働、知的財産、競争、投資方針など、より幅広い分野にわたる協定となっていることから、TPP加盟国はより厳しい条件で枠組みを形成していて、RCEPは意味をなさないとの意見もあります。

また、日本はASEANとの包括的経済連携協定を締結済で、自国の利益よりは中国経済圏の拡大に抗う意義の方が大きかったように感じます。今後インド離脱の流れが変わらないのであれば、中国が主導する経済圏の中に日本が身を置くのか、それともTPP11プラス米国の連携を強化し、中国経済圏に対抗していくのか、難しい判断が求められる局面になってきました。

中国は、自国の国有企業に対し補助金や規制保護をかけ、外国企業よりも有利に競争を展開できる状況です。米国のトランプ大統領は「我々は中国を必要としない」と語り、中国と距離を取る政策を取っています。韓国に明確な意志表示を求めている日本ですが、日本もRCEPへの関わり方について、大きな意思表示を迫られているのかもしれませんね?

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