APEC会議断念で米中会談も延期!?

2019年11月

2019/11/01

今日は「APEC会議断念で米中会談も延期!?密かにこの人もがっかり!?」についてお伝えしたいと思います。

APEC苦渋の中止

チリのセバスティアン・ピニエラ大統領は30日、チリの首都サンティアゴで11月15~17日に予定していたアジア太平洋経済協力会議(APEC)および12月2~13日に予定していた、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)の2つの主要国際会議の開催を断念すると発表しました。

チリでは先月から社会格差への不満からデモや暴動、放火が相次ぎ死傷者も出ている状況で、先週末のサンティアゴでのデモには、1990年の同国の民主化以降で最大の抗議行動となる推定100万人以上が参加したといわれています。

主催国によるAPEC首脳会議の開催断念は初めてのことで、ピニエラ大統領は「APECやCOP25の重要性を十分に理解しており、開催断念は非常に重い決断だった」と述べ、「安全確保」と「公共の秩序の回復を優先」する必要があるとしました。

チリでは国内主要都市の多くを対象に、非常事態宣言と夜間外出禁止令を発令しましたが、逆にデモ参加者を刺激する結果となってしまったようです。

米中の関税交渉がヒヤリ

米中両国はAPECに合わせてトランプ大統領と習近平国家主席の会談を調整していて、米中貿易交渉の部分合意の署名を目指していました。

米ホワイトハウスは30日、中国と交わした貿易交渉の「部分合意」について、当初の予定通り11月中旬の正式署名をめざすとの声明を発表。また中国商務省も31日に声明を出し、中国と米国の貿易交渉担当トップが11月1日に電話で協議するとしました。

両国は計画通りに貿易交渉を進めるとし、双方の貿易担当チームは密接に連絡を取り合っており、交渉は順調に進んだと説明。中国が最大500億ドル(約5兆4千億円)分の米農産品を購入したり人民元安誘導を控えたりする内容で合意したと思われます。

ただ、中国の産業補助金など解決が難しい構造問題は先送りしているとされ、さらに厳しい交渉を続けることになりそうです。異例の事態とはなりましたが、双方の首脳が開催に向けて歩み寄っていて、両国の一部合意に対する熱意が伝わってきます。

APECに期待

日本からは安倍晋三首相が出席を予定していて、韓国からは文在寅大統領が出席を予定していました。

韓国の大統領府は、APEC開催中止の発表を受け「今後の状況を見極めたい」との立場を示しましたが、APEC首脳会議の主催者側は、別の場所で会議を開く計画はないとのことで、文大統領のチリ訪問は中止になる見通しです。

韓国の康京和外交部長官は30日、安倍首相への親書の内容は「首脳間の対話(の扉)は常に開かれているとの立場と、難しい懸案を克服して日韓の首脳が会えればいいという希望を表明した」と公表。韓国政府は今回のAPEC首脳会議での日韓首脳会談の実現を期待していたようですが、安倍首相は韓国側が具体的な是正措置を講じない限り、文在寅大統領との首脳会談に応じない方針とし、少なくとも11月中は行なわないとしています。

韓国メディアは、APEC首脳会議で、北朝鮮の非核化問題などを議論するため、トランプ大統領や習近平国家主席との個別会談も調整するとしていましたが、米中の中では話題になっていないようです。

広がる温度差

日本の朝日新聞は30日、募集工裁判の原告側が韓国で差し押さえた日本企業の資産が現金化される場合、同じ金額の損害を韓国側に負わせる「報復措置」を日本政府が検討していると報じました。

また「現金化する場合、日本政府は国際司法裁判所(ICJ)への提訴と韓国政府への賠償請求も共に検討している」とも伝えました。

日本側がついに報復措置に着手する局面を迎えてきたとされますが、韓国の募集工訴訟の原告側弁護士は30日に会見を開き、日本企業の資産の現金化は早くても来年2月以降になるとの見通しを明らかにしました。

9~11月といわれた手続きが遅れているのは、日韓関係に配慮してのことと見る向きもありますが、原告らは熊谷組と古河機械金属の2社を相手に追加で訴訟を起こしたということです。産業用バルブへのWTO違反に対する報復措置が早いか資産現金化による報復措置が早いか注目されるところです。

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