2019/10/02
今日は「輸出管理から90日経過!!フッ化水素はどうなった!?」についてお伝えしたいと思います。
対象3品目の輸出許可
半導体やディスプレー素材の関連材料であるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目に対して、日本政府が韓国向け輸出を包括許可から個別許可方式に切り替え、輸出管理強化を始めた7月4日から、10月1日でちょうど90日が経過しました。
業界関係者によると個別許可が下りたのは、レジストが3件、フッ化水素が1件、フッ化ポリイミドが1件ということでした。
個別許可の審査期間は90日程度とされていたことから、もし申請が7月4日に行われていたと仮定すると、承認されたのがわずか5件のため、これらの品目を輸入する韓国企業は不安を募らせているようです。
一部では、世界貿易機関(WTO)の規定違反にならないように、日本が少しずつ承認しているとの見方も出ています。フッ化ポリイミドはこれまで承認されていないとみられていましたが、今月中旬に申請された韓国の中小企業向け輸出が承認されたことが確認されました。
気体はOK、液体はNO
実は輸出許可が出たフッ化水素は気体(エッチングガス)で、液体のフッ化水素(フッ酸液)はまだ1回も輸出許可がおりていません。
韓国の産業通商資源部は、「日本は半導体用フッ酸液について国連武器禁輸国と同じ9種類の書類の提出を求めているが、複数回にわたる書類の補完を理由に申請から90日が過ぎても1件も許可されていない」と指摘しました。
朝鮮日報でも27日、半導体工程に必須の液体フッ化水素など一部素材はまだ1回も輸出許可が下りていないことを報じました。韓国半導体業界によると、日本政府は8月29日にサムスン電子向けの気体フッ化水素(ウエハーに薄い膜を被せる工程に使用)1件の輸出を許可して以降、フッ化水素の追加輸出を許可しておらず、特に半導体ウエハーのエッチング、不純物除去に使われる液体フッ化水素は85日にわたって輸出許可が出ていないという状況ということです。
8月29日の気体フッ化水素の輸出許可で業界には緩和期待が出ていましたが、結局それ以降の輸入は全くない状況で、日本製液体フッ化水素の供給が長期間断たれてしまったサムスン電子とSKハイニックスでは、備蓄したフッ化水素の在庫量も急速に減少していると思われます。
フッ化水素節約中
業界は在庫量を極秘事項にしているため詳細は不明ですが、現時点でも業界が保有する在庫量は1カ月分にも満たないと推定されています。サムスン電子とSKハイニックスは在庫のフッ化水素を最大限節約して使っていますが、節約は在庫払底を遅らせるその場しのぎの方法にすぎません。
一方、両社では国産フッ化水素の最終テストを進めていて、サムスン電子は韓国企業ソウルブレインが製造したフッ化水素を一部の製造工程に投入し始めています。ただ、サムスン電子関係者は「テストが完了するまでには時間が必要だ。日本製を完全に切り替えるのではなく、同じ工程で使用できる複数の供給元を確保するという意味でテストしている」と説明しました。
同様にSKハイニックスも国産フッ化水素2種程度を製造工程に投入してテストしていて、高純度フッ化水素の在庫がなくなれば、当面は半導体ウエハーの不良品率が高まることを覚悟で代替のフッ化水素を投入し、生産を継続する方針のようです。
国産化へのハードル
韓国の「素材部品基盤技術の国産化に向けた源泉特許対策特別委員会」の調査結果によると、日本が対韓国輸出管理を強化した半導体素材3品目について「日本の特許レベルは韓国を大きくリードしており、韓国が国産化に成功しても技術を先取りした日本から特許訴訟を起こされる可能性がある」としました。
たとえば、フッ化水素について関連特許の46%を日本が保有し、次いで米国(25%)、韓国(8%)の順に占めていて、また、主に半導体の基板製作に使われるレジストも同様の状況で、韓国内での登録特許の64%を日本が占め、韓国は27%に過ぎませんでした。
委員長は「主要素材部品の日韓特許を分析した結果、量的レベルはもちろん、海外特許の比重など質的レベルでも韓国が劣勢に置かれている。民間では投資しにくい最先端技術分野で、特許分析と回避設計による積極的な特許競争力向上に向けた努力が必要だ」と強調しました。韓国が今まで使ってきたから日本の占有率が高いという声もありますが、身近に迫る現実を直視した方がよさそうですね?
コメント