2023/02/05
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不安な年金運用
韓国の国民年金財政推計専門委員会は1月27日、「第5次国民年金財政推計」（対象期間2023～2093年）の結果を公表しました。
それによると、現行のままで国民年金制度を維持する場合、国民年金は2041年に赤字転換し、2055年に基金が完全に枯渇するとのことです。
国民年金財政計算は5年ごとに更新するため、前回の第4次財政推計は2018年に行なわれていますが、当時、国民年金の赤字転換時期は2042年、基金の完全枯渇時期が2057年だったことから、赤字転換は1年、基金枯渇は2年、早くなったということになります。
国民年金の見通しが第4次財政推計より悪化した原因には、世界的にも類のない低出産および高齢化の進行、さらに「年金改革」が先送りされたことに原因があるとされています。
そのため韓国内では、「持続可能な大韓民国」（韓国紙）実現のため、「年金改革」への議論が急速に高まってきています。
単純に考えれば、保険料率を引上げて給付を絞れば良いのですが、韓国経済新聞は「国民年金基金の運用体制に問題がある」として、「年金基金の収益率を上げる」必要があると主張しています。
韓国経済新聞が、国民年金研究院と米国の政府系ファンド分析機関「グローバルSWF」の資料を基に、主要な年金基金の収益率を確認したところ、韓国の国民年金における最近10年間の運用収益率は、年平均4.99％だったとのこと。
この収益率は、比較したグローバル年金基金の中で「最下位圏」だったとのことで、「専門性よりも政治に振り回される基金の運用方針決定システムに問題がある」と指摘しています。
記事によると、規模が類似しているカナダ年金投資委員会（CPPIB）が年平均9.58％の収益率、カリフォルニア公務員年金（CalPERS）が年7.12％、ノルウェー投資管理庁（NBIM）が年6.80％、オランダ公的年金（ABP）が年5.64％となっていて、これらの基金より「振るわない収益率だ」とバッサリ。
さらに「保守的な運用で有名な」（韓国紙）日本公的年金（GPIF）の年5.30％よりも低い収益率になったことから、記事には「『日本よりも低いなんて、こんな事が』、世界でビリ『国民年金の屈辱』」というタイトルがつけられています。
記事によると、「運用収益率が1%ポイント高まれば枯渇時点を8年遅らせることができる」とのことですが、問題は「収益率の95%を左右する資産配分を非専門家で構成された基金運用委員会が最終決定する」ことだと指摘。
最高意思決定機関となっている「基金運用委員会」は、ファンドの専門家はおらず、保険福祉部長官を委員長とし、政府人事で6人、経営者団体から3人、労働界から3人、地域加入者団体（？）から6人などで構成された20人。
つまり、「グローバル年金基金」の運用体制とは異なり、韓国の国民年金基金は「素人」で運用されているという訳です。
まあ、新型コロナに便乗したインチキバイオ株が暴落したことまでは、「玄人」でも読み切れなかったかもしれませんけどね。
経世済民の趣
この関連記事をみた韓国人の反応は
国民年金は国民に対する国家的詐欺です。
60歳と言われて入ったが、韓国は今65歳になった。定年は60歳で、5年間どうすればいいのか？それをさらに68歳にするだと？なぜ子孫と今の労働者だけが苦しむのか？
大韓民国を地獄にするのが国民年金だ。無条件廃止に一票、これまで出したお金に利子だけつけて全部返して、国民年金は無くしてくれ。公務員・教職員年金も同様だ。
個人がポンジスキームをすると犯罪で、詐欺国家がすると合法なのか？元金をすべて返して廃止しろ。
自律性に変えて、やる人だけやればいいのではないか？不確実な年金に毎月賭けるのは難しい。
国民年金だけの話をしているが、公務員年金、軍人年金、私学年金も赤字が雪だるまのようになっている。
フランスのように数百万人が街に出て国民年金公団の廃止要求しなければならない。なぜ不道徳なことが発生しても何の制止もないのか？国民を本当に犬豚として見ているのか？
秘書に運転手までついて公団役員が酒を飲んで遊ぶのを、どうして私の血と汗の月給から出さなければならないのか？これは共産国家であって民主主義国家ではない。
国民年金の廃止が答えです。国民投票で決定する必要があります。韓国は自由民主主義国です。
昨年、国民のお金を吹き飛ばした年金公団職員らに成果給を与えた。これがきちんとした国なのか？老後保障を悪用した国民への詐欺であることを明らかにしなければならない。
国民年金をいったいどのように運用したのか･･･、本当に情けない。人口減少が原因ではなく、運用基金をいい加減に運用していることが、より問題だと言える。
国民年金は何をやっているのか。月給はたくさん受け取って悪口が出てくると急に石になる。国民年金は解散しろ。
国民年金運営出身者たちには実力がないことが判明した。
昨年、国民年金が株式で50兆も吹き飛ばされた。昨年に任命された国民年金理事長は尹錫悦が任命した人です。ちなみに文在寅の時は、すべて収益が出ている。
ファンドマネージャーの年俸は最下位で地方配置、だからファンドマネージャーが忌避する。だれが国民年金のファンドマネージャーになるのか。
自分のお金ではなくても責任を持たなければならない。無責任が問題だ。自分たちの過ちを年金枯渇で言い訳してはならない。
結局は、これまでどんな政府でも国民年金を長期的な観点からきちんと検討し、年金改革をした政治家たちが全くなかったということだ。韓国の政治家は反省しなければならない。
運営を専門家がうまくしなければならない。うまくいけば成果給を与えて、失敗すれば退出させなければならない。保険料を引上げ、支給時期を遅らせるなど幼稚園児でもできる。
とのことです。
ちなみに、現在の国民年金は保険料率9％、所得代替率は42.5％で65歳から年金受給がはじまります。
1988年に70％だった所得代替率は2028年の40％まで段階的に引き下げられることになっていて、一方の保険料率は7.5～15％程度の引上げを軸に検討が進められているようです。
さて「基金運用委員会」については、別の韓国紙も機能しているか疑わしいと指摘しています。
それによると、昨年6回開かれた基金運用委員会のうち、委員長の保健福祉部長官が出席したのはわずか2回、他の政府関係者もほとんど欠席か代理人の出席だったとのことです。
やる気のない「素人」連中が集まっても、収益性を高めようという視点が乏しいのは当たり前、自分たちの利権を主張するのが関の山です。
国民年金出身の投資業界関係者は、「オルタナティブ（代替）資産を新たに編入する」など、「ポートフォリオ（資産構成割合）の見直し」をするため、「各界代表を説得するのに数年かかる」とし、「機敏にポートフォリオを運用する海外年金と差が出るのは当然」と指摘しています。
さらに問題は、韓国の政治圏が「基金運用の独立性と専門性の向上」にまったく関心がないことで、国内主要企業株式の10％近くを保有する国民年金基金は、歴代の政府に良いように利用されてきました。
たとえば、朴槿恵政権ではサムスングループをめぐる李在鎔会長の支配権拡大に利用され、文在寅政権でも財閥の飼い慣らしや、株価・為替の調整弁として使われてきました。
この傾向は尹錫悦政権下でも変わらず、金融持株会社、KT、ポスコなどの経営陣選出のため、国民年金が持つ議決権を行使しようとしています。
ただ、第5次財政推計では、国民年金の基金運用収益を除いた純粋年金収支（年金保険料－年金支給額）が2030年に赤字になると示されました。
つまり、国民年金基金の収益率がこれまで以上に下がった場合、2057年とされる基金の完全枯渇時期が早まることになるわけで、そうなると国民年金は基金の運用資産を現金化して、年金を支払わなければならなくなるという訳です。
韓国国民が望むとおり、基金を現金で還元し、晴れて年金解散という流れになるということでしょう。
国が無くなったら年金も無くなりそうなので、早いうちにケリをつけたほうが良さそうですね。
のぞみのワンポイントニュース
カリブ海の最貧国といわれるハイチで繊維工場を運営してきた韓国企業の子会社が現地職員3500人を解雇することにしたようです。
現地ではギャング団が蔓延り正常な工場運営が難しいうえに、世界的な景気低迷が重なったことが原因とされています。
外信などによると、S&Hグローバルは2日（現地時間）、ハイチの繊維工場の製造設備1ヶ所を閉鎖し、現地職員3500人を解雇する予定だと発表しました。
解雇対象は全従業員の半分に達するということですが、この工場はハイチ繊維産業団地の最大雇用先で「ハイチ希望の象徴」と言われていた様子。
2010年にハイチ大震災が起きた後、米国務省が主導するハイチ再建プロジェクトに「SAE-A Trading」という韓国企業が参加、2012年に工場を開所しました。
新型コロナ以前はこの工場で1万2000人を雇用していたとのことですが、政治・社会的な混乱は解決されないばかりか、2021年7月にジョブネル・モイーズ大統領の暗殺事件が起きると、現地はさらに無法地帯と化したようです。
同社は、「ストライキや国境閉鎖、社会的不安のために工場の運営が困難になった」とし、騒擾で「出荷遅延や生産中断などの問題が発生したため、顧客から注文キャンセルが相次いだ」と説明。
記事によると、ハイチで生産された衣類は無関税で米国に輸出され、ウォルマートなどの大手販売代理店に卸されるとのことですが、景気鈍化も影響して安定的な供給先が残り、不安定なハイチ工場への注文量が減ってしまいました。
現地の武装ギャング団は、外国人を拉致して身代金を要求したり、商業貨物を盗んだりしているようで、現地警察でさえギャング団の暴力に対抗するのは難しいのが実情。
昨年末にはギャング団が首都ポルトープランスの燃料ターミナルを占拠して地域発電所が稼動停止する事態も発生、このためS&Hグローバルは2ヶ月もの間、工場閉鎖を強いられる事態となりました。
韓国外交部も昨年9月、現地の治安悪化に憂慮を示し、韓国人の隣国退避を勧告していたようです。
もちろん、現地の治安悪化により最も被害を受けるのは女性と子供、今回解雇される工場勤務者のほとんども女性だということです。
遠い地にいると、現地の悲惨な状況は分かりませんが、ギャング団のやっていることを文字情報だけで見ると、韓国の剛性労組の行動とあまり変わらない気がするのは、私だけかな？
支援の手を差し伸べることも大切ですが、「我が振り直す」のも大切なことだと思いますけどね。
なお、ハイチへの寄付は「公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン」などが行なっています。
関心のある方は、ぜひ一度HPなどを確認してみてくださいね。
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ではまた 次の動画でお会いしましょう
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