2019/05/08
今日は「中国の産業補助金にロックオン、米中関税の応酬へ」についてお伝えしたいと思います。
連休明けのマーケット
トランプ大統領が対中国関税を引き上げると表明し金融市場では楽観論が後退するなか、10連休が明けた5月7日、東京市場では日経平均株価が335円と大幅下落しました。また7日のNYダウも一時600ドルの下落、欧州の主な株式市場も軒並み値下がりしました。
中国副首相は訪米へ
中国側が8日の閣僚級会議を取りやめるのではないかとの憶測もありましたが、中国の劉鶴副首相は9日から10日に訪米するとしました。ワシントンの滞在期間が3日間から2日間と短くなったものの、「交渉で見解の相違があるのは当然のことで、中国は真摯な姿勢で協議を継続する」と述べました。ちょっと大人の対応でしたね。
最終局面での暗転
米中は知的財産権の保護など90%以上で決着したとされていましたが、なぜここに来て米国は強行姿勢に出たのでしょうか。そこには中国の国有企業に対する「産業補助金」についての協定を巡って溝が生まれ、米国のライトハイザー氏が強硬姿勢に走ったようです。
産業補助金とは
中国の習近平国家主席が掲げる産業育成策「中国製造2025」にそって、5000億ドル強の資金枠をハイテク産業などに支出しています。世界貿易機構(WTO)は輸出促進のための企業補助金を原則禁止しているため、産業補助金はルールに抵触すると見られています。中国地方省が補助金で産業を誘致し、税収や雇用を生み出す中国の高成長を支える根幹ともいえる施策です。
チキンレースの勝者は
産業補助金は習近平氏の重要施策のひとつで撤廃は受け入れがたいようです。ただ、鉄鋼の世界的余剰を招いたのはこの補助金によるものとして、国際社会からの批判が強いのも事実です。この問題が早期に解決することは難しく、関税の応酬により経済に悪影響を与えるのは必至です。互いの輸入額を見れば、制裁関税の余地は圧倒的に米国有利。中国側の譲歩が待ち望まれます。
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